第2種情報処理技術者試験
1997年度 = 平成9年度・秋期
午前
問39
OSI基本参照モデルにおける“ネットワーク層”の説明として、正しいものはどれか。
ア
エンドシステム間の透過的なデータ伝送を実現するために、ルーティング、コネクションの設定と解放などを行う。
イ
各層のうち、最も利用者に近い部分であり、ファイル転送や電子メールなどの多岐にわたる応用(アプリケーション)が実現されている。
ウ
物理的な通信媒体の特性の差を吸収し、上位の層に透過的な伝送路を提供する。
エ
隣接ノード間の伝送制御手順(誤り検出、再送制御など)を提供する。
解答
ア
解説
OSI
(
開放型システム間相互接続
:
open systems interconnection
)
基本参照モデル
は、以下に示すように7層から構成されます。
第1層
:
物理層
(
physical layer
)
ビットの伝送によるデータ通信を成立させるうえで必要な電気的、物理的な規約であり、物理コネクションを活性化、維持、非活性化します。
第2層
:
データリンク層
(
data link layer
)
情報をフレーム化し、隣接ノード間でのデータの送受のタイミングをとり、ビット列の付加による伝送誤りの検出と回復制御を行い、上位の層を物理的な伝送媒体にかかわる問題から切り離します。
第3層
:
ネットワーク層
(
network layer
)
隣接する両端ノード間中継や最適通信経路設定(ルーティング)によってネットワークコネクションの設定・保持・解放を行い、このコネクションを介して透過的で誤りのないデータ転送を行います。複数の通信網を介する場合でも、適切な通信経路設定を行いますので、隣接しないシステム間の通信を可能とし、利用者が存在するシステム間のデータ転送機能を提供します。
第4層
:
トランスポート層
(
transport layer
)
この層の下位層を構成する各種通信網の品質の差を補い、伝送するデータの順序制御、多重化による効率的転送機能や、網内のデータ紛失に対するエラー検出/回復、データの多重化などによる、透過的な両方向同時転送を実現します。データ転送のサービス品質が維持されていない場合はユーザへ通知します。
第5層
:
セション層
(
session layer
)
論理的な通信路を確立し、順序正しいデータ交換を支援して応用プロセス間での会話(ダイアログ)を円滑に構成するために、普通データ転送と優先データ転送の送信権の折衝や管理、半二重や全二重のデータ転送モードの違いによるデータ送受信のタイミングの制御、例外報告などを行います。
第6層
:
プレゼンテーション層
(
presentation layer
)
データの互換、転送構文と送受信応用エンティティが使用する抽象構文の変換、暗号化、圧縮などを行います。
第7層
:
応用層
/
アプリケーション層
(
application layer
)
ユーザの業務プログラムなどがOSI環境でアクセスする手段を提供する規約であり、遠隔データベースアクセス、ファイル転送・アクセス管理、ジョブ転送・操作などを行い、応用プロセスが直接利用できるサービスのすべてを提供します。
本問の選択肢は、それぞれ次のように対応します:
ア
…ネットワーク層、
イ
…アプリケーション層、
ウ
…データリンク層、
エ…
トランスポート層。