第1種情報処理技術者試験 1996年度 = 平成8年度 午前 問23

 タスクは、実行可能状態(ready)、実行状態(running)、待ち状態(wait)の三つの状態を繰り返しながら実行される。タスクの状態遷移に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

ア 実行可能状態におかれたタスクが、待ち状態に移されることはない。
イ 実行状態のタスクは、ある種の事象の完了(例えば入出力動作の完了)を待つ必要が生じたとき、待ち状態におかれる。
ウ 実行状態のタスクは、自分に割り当てられたCPU時間が終了すると待ち状態におかれる。
エ タスクの実行が完了すると、そのタスクが使用していた資源は解放され、他のタスクが使用できるようになる。
オ 待ち状態のタスクは、待ちの原因となった事象が完了すると、実行可能状態に移る。

解答



解説

 タスク管理の主目的は、複数のプログラムに対してCPUを割り当てるマルチプログラミングを行うことによって、CPUを効率よく利用することです。

 プロセスの状態および状態遷移は、以下のようになります。

実行(running)
 CPUを確保し、プログラムを実行している状態。

実行可能(ready)
 CPUが割り当てられればすぐプログラムを実行できる状態。

待機(wait)
 要求しているリソース、たとえば入出力機器が、空くのを待っているとか、メッセージが到達するのを待っているとか、何らかの待ち状態にあり、CPUを必要としていない状態。


実行可能状態から実行状態へ
 CPUスケジューラ(CPU scheduler)すなわちディスパッチャ(dispatcher)によって、CPUを割り当てられたとき

実行状態から実行可能状態へ
 より優先度の高いジョブに割り込まれたり、自分に割り当てられた時間すなわちクオンタム(quantum)が終了したとき

実行状態から待機状態へ
 プロセスが入出力動作を起動し、その完了を待たなくなければいけなくなったとき、何らかのリソースが必要となり、それが空くのを待たなければならなくなったとき  ※他の遷移と異なり、プロセス自らの操作によって生じる

待機状態から実行可能状態へ
 入出力動作が完了したり、他のプロセスの命令により待ち状態が解除されたとき

 実行状態のタスクは、自分に割り当てられたCPU時間が終了すると、待ち状態ではなく実行可能状態に移行しますので、が正解です。


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